経理・税務情報
新法令・通達の解説
- 下請取引の適正化を図る振興基準の改正
- 令和6.11.14 経済産業省報告=下請中小企業振興法第三条第一項の規定に基づき、振興基準を定めた件
中小企業庁では中小企業の取引適正化の重点課題の1つとして「支払条件の改善」を位置付けています。その改善を推進するため、下請中小企業振興法3条1項の規定に基づく振興基準が改正されました。
なお、この基準は令和6年11月1日から施行されています。
公正取引委員会が、手形等が下請代金の支払手段として用いられた場合の指導基準および指導方針を変更したことを踏まえ、親事業者および下請事業者の行動に関する事項が規定されました。
そのなかで、下請代金の支払方法の改善として、親事業者が下請代金を手形等で支払う場合、業種を問わず60日以内とすることを徹底する旨や、下請代金の支払いはできるかぎり現金とし、賃金に相当する金額については、全額現金で支払うものとすることなどが規定されました。
また、「一括決済方式」とは、下請事業者が、債権譲渡担保方式またはファクタリング方式もしくは併存的債務引受方式により金融機関から貸付けまたは支払いを受けることと、より詳しく規定されました。
公正取引委員会が公表した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」等を踏まえ、下請法上の買いたたきの解釈・考え方がさらに明確になるよう、下請法運用基準の改正を行なうことを踏まえた、親事業者の行動に関する事項が規定されました。
買いたたきとは、「下請事業者の給付の内容と同種または類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること」、通常支払われる対価とは、「当該給付と同種または類似の給付について当該下請事業者の属する取引地域において一般に支払われる対価」とされています。
通常の対価を把握することができないか困難である給付について、「通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額」として取り扱うものとして、「従前の給付に係る単価で計算された対価に比し著しく低い下請代金の額」などの例示もされています。
その他の新法令・通達
- 海外投資の促進
- 外国口座管理機関が国内口座管理機関の上位機関となることは一律に禁止されていますが、一定の要件を満たした場合、国内投資家が国内口座管理機関を通じて外国口座管理機関の決済プラットフォームを利用可能にすることで、外貨建国内債の発行の円滑化が図られます。
- (令和6.11.6 内閣府・法務省・財務省令第2号=口座管理機関に関する命令の一部を改正する命令)
- 新基準原付が原付免許で運転可能に
- 令和7年度に適用される新たな排ガス規制への対応のため、新基準原付(総排気量125㏄以下の二輪車の最高出力を現行原付と同等レベルに制御した二輪車)が原付免許で運転できるようになります。
- (令和6.11.13 内閣府令第98号=道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令 ほか)
- 脱炭素に向けた制度整備
- 脱炭素化を進める手段として、二酸化炭素を回収し地下に貯留するCCS事業を開始するための制度整備が進んでいます。試掘・貯留事業の許可制度の創設に伴い、二酸化炭素の貯留事業に関する法律に規定する試掘権の耐用年数が「6年」とされました。
- (令和6.11.15 財務省令第63号=減価償却資産の耐用年数等に関する省令及び法人税法施行規則の一部を改正する省令)
- 有害物質の規制強化
- 国際会議でペルフルオロアルカン酸等が残留性有機汚染物質として廃絶対象となったことに伴い、原則製造・輸入・使用が禁止される第一種特定化学物質に該当する具体的な物質が規定されました。
- (令和6.11.15 厚生労働省・経済産業省・環境省令第4号=化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令第一条第一項第三十五号ハの規定に基づき化学物質を定める省令)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック