経理・税務情報
これからの法改正の動き
労働基準関係法制研究会が、報告 書のとりまとめに向けた「議論のた たき台」を示しています。
総論として、多様化する働き方に対応すべく法整備が進むと、複雑でわかりづらい法制となっていくことから、保護が必要な場面においてはしっかりと労働者を保護することを前提に、原則的な制度をシンプルかつ実効性のあるかたちで法令において定め、さらに一定の範囲内で個別の企業、事業場、労働者の実情に合わせて調整が可能なものとしていくという考え方を持つことが、今後の検討に当たって求められるとしています。
このような仕組みが有効に、弊害なく機能するためには、現場の労使の良質なコミュニケーションが必要だと打ち出しています。
そして検討の柱として、次の4つの論点を示しています。
(1)労働基準法における「労働者」について
(2)労働基準法における「事業」について
(3)労使コミュニケーションの在り方について
(4)労働時間法制の具体的課題について
多様な働き方が広がるなか、労働組合のない職場も多い一方で、過半数代表者には、選出方法や役割・交渉力などに課題があることなどから、その改善が必要と考えられると指摘しています。
ここで提案されているのが、「過半数代表者」の機能強化です。
まずは労働基準法において、過半数代表、過半数労働組合、過半数代表者の法律上の位置付け、役割、過半数代表者に対する使用者からの関与や支援を明確にする規定を設ける法改正を行なうことが必要と考えられるとしています。
労使委員会の規定についても同様に検討の対象となり得るとの意見があったとしています。
目指すべき姿として、まずは過半数代表の改善策を実施し、その状況を把握しながら、労使コミュニケーションの在り方について議論を深めていくべきとしており、今後、具体的な検討が進みそうです。
注目したい法改正の動向
- マンション建替えの促進
- 国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会が、マンションの適正管理・再生に向けた検討の方向性を示しています。管理適正化を促す仕組みの充実、多様なマンション再生のニーズに対応した事業手法の充実、地方公共団体によるマンション管理適正化・再生円滑化への関与の強化・充実の3点が示され、同分科会に設置されたマンション政策小委員会で、建替え円滑化のための区分所有法の改正など具体的な施策が検討されます。
- 危険運転への対応
- 法務省の自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会が、報告書をまとめました。危険運転致死傷罪の構成要件として、飲酒運転の場合には個人差や心身の状況にかかわらず適用する数値基準を明文化する方針等が示され、今後、具体的な数値や要件について法制審議会で審議されます。
- 「 年収の壁」見直し佳境に
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就業の抑制となっている、いわゆる「年収の壁」をどうするかが喫緊の課題とされるなか、所得税の基礎控除の引上げによる「103万円の壁」以外も対応が検討されています。
厚生労働省の社会保障審議会年金部会が、被用者保険の適用拡大の方針を示し、自民党社会保障制度調査会年金・医療委員会合同会議が関係団体から適用拡大についての意見を聴取しました。その際、厚生労働省は企業規模要件の撤廃とともに「106万円の壁」を生んでいる賃金要件の見直しは引き続き検討する、と説明しました。 - フリーランスも労災の対象に
- 労働政策審議会安全衛生分科会で、今後の労働安全衛生対策についての報告書案が示され、個人事業者を労働安全衛生法の保護対象に加える方針が明らかになりました。安全衛生法が改正されれば、フリーランスに発注する事業者に、安全配慮義務や報告義務が課せられることになります。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック