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危ない会社を見抜く決算書の読み方

損益計算書のチェックポイント
項目 チェックポイント
売上高 売上の減少
(1)営業力弱体、(2)競争激化・過当競争、(3)商品力弱体、(4)赤字受注(単価下落)、(5)商品の叩き売り、(6)大口取引先の喪失
▲売上原価 原価の上昇
(1)原価の高騰、(2)設備償却負担、(3)工場経費上昇
売上総利益(粗利益) →粗利益の減少
▲販売費及び一般管理費 人件費、経費の上昇
(1)過剰人員、(2)設備償却負担、(3)経費率上昇
営業利益 →営業減益・営業赤字
 事業の継続性に問題
営業外利益  
▲営業外損失 借入過多による金利負担大
経常利益 →経常減益・経常赤字
 借入過多・金利負担大の可能性
特別利益  
▲特別損失 (1)大口の貸倒れ、(2)不良資産の償却、(3)減損損失の発生、(4)火災・災害による損失、(5)訴訟等による費用・損失
税引前当期(純)利益 →減益・赤字
▲法人税等  
当期(純)利益 →減益・赤字
 自己資本減少

編集協力:リスクモンスター株式会社

貸借対照表のチェックポイント1(借方)
分析区分 勘定科目 チェックポイント コメント
流動資産 当座資産   現金・預金
(1)
すぐに使えるものとすぐに使えない(固定的な)ものを分ける
(2)
すぐに使えるものは日常的にどの程度残高に残るか
(3)
すぐに使えない(固定的な)ものと借入金との比較(預貸率)はどうか
銀行取引状況のチェック可能
売掛債権 売掛金・工事未収入金 受取手形と合わせた受取勘定の回転期間はどうか(前年比・業界比・自社への支払サイトとの対比) 回転期間が長い場合は架空売上、押込み販売、不良債権の有無チェック
受取手形 手持ち手形は十分にあるか(受取手形-割引手形-裏書手形)



商品製品/原材料/仕掛品
(1)
在庫の評価方法はどうか、変更はないか
(2)
回転期間はどうか
異常があれば、在庫の水増し計上、返品・クレーム、不良在庫の有無チェック







未収入金/前渡金 前期と比較して増加していないか、相手先への実質貸付金になっていないか 不透明な資産(特に異常に大きいもの)は不良資産化の可能性あり
短期貸付金 相手先はどこか、回収は可能か、債権の保全は講じているか
仮払金 相手先はどこか、金額が大きくないか
前払金/前払費用 異常な増加・減少はないか
貸倒引当金
(1)
引当が適正かどうか
(2)
滞留債権発生の相手先はどこか、債権の回収見込や保全状態はどうか
固定資産




建物/構築物/機械装置/車輌運搬具/工具・備品
(1)
老朽化していないか
(2)
適正な減価償却ができているか
(3)
遊休資産の有無
(4)
新規の設備投資の有無(具体的に)
(5)
処分した資産とその売却損益・相手先は
大型設備投資の資金導入方法の確認→自己資金か、借入資金か、で財務内容は大きく変わる
金額が大幅に減っている場合はその目的を確認する
土地
(1)
含み損益の有無
(2)
担保設定状況の把握
建物仮勘定
(1)
具体的な設備投資の内容把握
(2)
投資後の売上・収益への貢献見込みはどうか
無形固定資産 営業権/電話加入権/ソフトウェア 実質的な価値はあるか  


投資有価証券
(1)
含み損益の有無
(2)
保有銘柄のチェック
(3)
社長個人での株式投資実施の有無もチェック
損失の発生・不良債権の発生が適正に処理されていなければ、損益で黒字でも資金的には行き詰まるケースがある
出資金 相手先と出資した意図のチェック(相手先の業績も確認)
長期貸付金
(1)
相手先と資金使途はどうか
(2)
債権の保全は講じられているか
(3)
貸付利息は計上・入金されているか
繰延資産   多額の計上はないか  
(借方)資金の投資・運用状況を示す
貸借対照表のチェックポイント2(貸方)
分析区分 勘定科目 チェックポイント コメント
他人資本 流動負債 買掛債権 買掛金/支払手形/工事未払金
(1)
回転期間はどうか(前年比・業界比・自社の回収サイトとの対比)
(2)
動きがあれば、具体的にどの仕入先と決済条件を変更したか
仕入先との取引状況のチェックができる
その他の流動負債 未払金/未払費用
(1)
相手先はどこか
(2)
リース未払金があれば設備の種類や返済期限を確認
 
前受金
(1)
相手先はどこか、前受金の意図は何か
(2)
異常な金額の計上ではないか
預り金/納税充当金/仮受金 異常な増加・減少はないか
短期借入金/1年内返済の長期借入金/1年内償還の社債
(1)
総借入額は有利子負債(支払利子・利息が生じる負債)の合計で、一般的には長短借入金+手形割引+社債の合計になる
(2)
銀行別の借入状況はどうか、銀行以外から借りていないか
(3)
借入金と支払利息が見合っているか(金利水準と比較)
(4)
長期借入から短期借入へシフトしていないか(融資姿勢の変化)
(5)
担保提供の有無の確認(不動産、動産、債権)
銀行借入状況のチェックにより支援が継続するか確認する



長期借入金/社債
自己資本

資本金/資本準備金 株主が会社に払い込んだ元手は十分か
・資本金(株主の払込資本のうち、資本金として組み込んだもの)
・資本準備金(株主の払込資本のうち、資本金とされなかったもの)
社歴と経営規模に応じた自己資本の厚みはあるか
固定負債プラス自己資本の合計は、固定資産と比べて大きいか(小さければ不安定)
利益剰余金 利益が社内に蓄積されているか
(内部留保は進展しているか)
・利益準備金(配当の1/10を留保することが、会社法上義務化。ただし、資本金の1/4まで達すればその限りではない)
・その他利益剰余金(任意に利益を社内留保するために利用される)
(貸方)資金の調達状況を示す

編集協力:リスクモンスター株式会社

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