事業承継対策

法人の場合、個人事業の場合においてもどの時点で事業承継を行うかの対策をうっておくことは必要不可欠といえます。

お子さまが経営者として承継してくださるのであれば、その対策。もしお子さま等のご親族が引き継がないという場合には、事業を他の経営者へ譲渡する等の対策が必要になってきます。

1.誰に引き継がせるのか

  • 法人の場合においては、誰が継ぐのかによって株式の評価額に違いが生じてきます。
  • 経営者としての教育・引継ぎ期間も対象者によってかわってきます。
  • 法人の場合、承継者も株式購入額の資金的問題を抱えている場合があります。

2.いつ引き継がせるのか

  • 名(法人であれば代表取締役・個人事業であれば事業主)実(経営権、法人であれば株式の持分割合)ともに移すタイミングの決定が今後のスケジュールに影響してきます。

3.法人の場合株式の譲渡のスケジュールは

  • 定期的に株式の譲渡をしていく必要性があります。株式の価額が増えていく前に、次期後継者に譲渡をすることにより節税効果も図ることができます。

4.退任時に確保する金額は

  • 法人の株式を譲渡する際に発生する譲渡益課税は有利な場合があります。
    (原則20%の譲渡益課税)
  • 法人の場合、退任時に退職金の受領で節税を図ることができます。
    (退職金は所得税法上優遇されています。また法人の株式価額を引き下げ、相続税法上も有利になります。)
  • 個人事業の場合、青色専従者等親族への退職金は認められていませんので、事業主ご自身の退職金の準備資金として小規模企業共済にご加入することが必要になります。

5.退任以降に発生する相続・贈与税対策は

  • 法人の株式を移譲できなかった場合には、勇退以後も相続・贈与の問題が生じる恐れがあります。
  • 継続的に法人の株式の評価を行い、引き続き定期的に譲渡を行なっていくことが大切です。
  • 相続時精算課税制度の利用を検討することも必要です。
  • 一定の要件を満たす場合には、相続税・贈与税の繰り延べ制度も活用することができます。

6.万が一のときの保障は

  • 万が一、不慮の事故等で思惑通りにことが進まないということもありえます。
    このような場合に備えて、事業承継に必要な資金を生命保険等の活用により用意しておくことも必要ですし、生活保障のための所得補償保険の活用も考慮しておくべきです。
  • 事業を閉鎖等する場合においても、従業員の退職金等の準備が必要になります。
    そのための余剰資金等の対策が必要になってきます。
  • 法人の場合には、死亡保険金を法人の資金繰り等のために残した場合、法人税等の負担を考慮しておく必要性があります。
    個人事業の場合には、死亡保険金の額によっては、相続税の負担も考慮しておく必要があります。

7.従業員の雇用保障は

  • 後継者が継承した後においても、従業員を今の体制のままでよいか検討する必要があります。
  • 雇用保障が難しい場合には、退職金の支給をする準備資金が必要になりますし、再就職斡旋等の手当が必要になる場合もあります。
  • 雇用継続が事業承継の重要な要件である場合には、残留をするための説得も必要となる場合があります。

8.代償分割の検討

相続人の方が、経営者である場合、経営者以外の方である場合によって相続すべき財産に違いが生じてきてしまいます。
経営者となる相続人の場合には、事業の財産を多く引き継ぐ可能性が高く、経営者以外の方が相続人である場合には現金等を引き継ぐ場合が多く発生してきます。

そのような場合に、相続人である経営者の方が相続税を現金にて支払うことができなくなってしまう事態が想定されます。
こうしたケースにおいては、現金を相続される相続人から現金以外を相続される相続人に、遺産分割時において現金を渡す(代償分割といいます。)ことができます。

この対策のため、相続税の納付のための現金をいかに残しておくべきか検討しておく必要があります。

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